毎月やってくる生理期間が憂鬱だという方は多いのではないでしょうか。
生理痛、出血が多い、イライラ、頭痛、倦怠感などのトラブルはありませんか?
これらの症状はしかたないもの、痛み止めなどの薬でごまかすしかない、と諦めることはありません。生理のトラブルの原因と対処法を知って、毎月の生理期間を快適に過ごしましょう。
主な原因
- ホルモンのアンバランス
女性ホルモンには、エストロゲンとプロゲステロンがあり、相互にバランスを取って、良好な健康状態を保っています。ところが現代の生活環境や食習慣の影響で、エストロゲンが多くなりすぎると月経のトラブルが起こりやすくなります。
化学薬品、PCB(ポリ塩化ビフェニール)、DDT(殺虫剤)、ダイオキシンなどの化学物質は、正常なホルモンの作用に影響を与え、健康障害を誘発する「内分泌かく乱物質(環境ホルモン)」です。
また、脂肪や加工食品の多い食習慣は血中のエストロゲンレベルを上げてしまい、ホルモンバランスを崩して月経時のトラブルを引き起こす、また生殖器系の疾患の一因になることが研究で判明されています。
- 脂質(脂肪)の摂り方の問題
生理痛などの痛みは、アラキドン酸(オメガ6系の脂肪酸)から作られる炎症性の「プロスタグランジン」という化学物質が過剰に分泌されて、炎症を起こしたり、子宮を過剰に収縮させたりすることで起こると考えられています。
私たちが食べ物から摂取する脂肪には、たくさんの種類がありますが、その中で、リノール酸(オメガ6脂肪酸)とα-リノレン酸(オメガ3脂肪酸)は不足すると欠乏症の症状が出てくることから必須脂肪酸と呼ばれています。どちらも重要な物質ですが、健康状態を良好に保つためにはそのバランスが重要です。
(オメガ6脂肪酸は炎症を促進する作用があり、オメガ3脂肪酸は炎症を抑える作用があります。)
「プロスタグランジン」はオメガ6脂肪酸のアラキドン酸から作られます。
オメガ6脂肪酸とオメガ3脂肪酸は、1:1から4:1の比率で摂ることが理想ですが、現代の食習慣では、その比率は、15:1以上になっているそうです。
つまり、オメガ6脂肪酸を摂り過ぎているのです。
アラキドン酸などのオメガ6脂肪酸や、アラキドン酸から作られるプロスタグランジンは、炎症を促進する作用があるので、摂り過ぎると痛みや腫れ、熱などの一因になってしまいます。
このような状態を放置しておくと…
月経トラブルはごく当たり前に起こることではありません。
このような症状の一因である、ホルモンのアンバランスや血中エストロゲンレベルを高いままにしておくと、過剰なエストロゲンにより生殖器系の疾患につながる、また更年期障害の症状が重くなる、などのリスクが高くなる可能性があります。
しっかりと改善しておきましょう。
対処法
- 内分泌かく乱物質である化学物質を遠ざける
有害性が認められた化学物質はたくさんあるのですが、私たちの生活に特に密接なものは、殺虫剤、合成香料を使った製品、プラスチック製品などです。
できるだけ天然由来のものを使いましょう。安全な雑貨を扱っている自然食品の店舗などで、代わりのものを探してみましょう。詳しくはまた次の機会にお話しします。
- 低脂肪の食事を心がける
エストロゲンの原材料は脂肪なので、体内に脂肪が増えるとエストロゲンレベルを上げてしまいます。
揚げ物や炒め物、脂肪の多い加工食品、バター、ラード、生クリーム、植物油はできるだけ控えるようにしましょう。
- 脂肪の摂り方に気を付ける
私たちの食事は、オメガ6脂肪酸が多くなっています。なぜなら、オメガ6脂肪酸はほとんどの植物油に含まれていますが、オメガ3脂肪酸の豊富な供給源は、限られた特定の食品しかないからです。オメガ3脂肪酸を積極的に摂取して、オメガ6脂肪酸とのバランスを取りましょう。
オメガ3脂肪酸:フラックスシード、チアシード、えごま、ヘンプシード(麻の実)
くるみ、緑色の葉物野菜など
- 抗酸化作用や抗炎症作用に優れた食品を食べる: 月経トラブルに限らず、体のあらゆる病的なトラブルは、主に酸化ストレスや慢性炎症によって起こるとされています。
抗酸化作用や抗炎症作用に優れた、野菜や果物を積極的に食べましょう。
選ぶポイントは色素です。緑、赤、黄、ピンク、紫、黒など色の濃い植物は、特に優れた健康効果があります。
特におすすめの4つの食品
- フラックスシード: フラックスシードは、オメガ3脂肪酸も豊富ですが、「リグナン」
という植物性のエストロゲン様物質が含まれています。
リグナンは体内の過剰なエストロゲンを抑制する働きがあるため、ホルモンのバランスを整え、生殖器系のトラブルの改善が期待できます。
- 大豆や大豆製品: 大豆には、イソフラボンという植物性のエストロゲンが含まれていて、生殖器系の疾患や、更年期障害の症状の一つであるホットフラッシュをやわらげる働きがあることが研究で示されています。
- 生姜: 生姜は抗酸化作用、抗炎症作用に優れ、PMS(月経前症候群)の症状の緩和にも効果があることが認められています。
- 緑色の葉物野菜: これらにもオメガ3脂肪酸が含まれていて、さらに抗酸化作用や抗炎症作用があるファイトケミカルが豊富で、体内の炎症緩和にも役立ちます。
普段から、これらの食品を含む植物性食品中心の食事を心がけることは、月経トラブルだけでなく、美容やアンチエイジング、病的なトラブル回避につながります。
早速、今日から試してみませんか?